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師匠ミック・グリーン

LIVE IN JAPAN, 2000 / WILKO JOHNSON LIVE IN JAPAN, 2000 / THE PIRATES

ウィルコ・ジョンソンとミック・グリーンの友情物語

ウィルコ・ジョンソンのギター・スタイルは本人もハッキリと言っているように、
ジョニー・キッド&ザ・パイレーツのギターリストだった、
ミック・グリーンに大きく影響を受けたもの。

ジョニー・キッドはビートルズよりも早くイギリスでビート・サウンドを出していた
元祖ブリティッシュ・ビート的なおエラいアーティストで
ザ・パイレーツはそのバックバンドなのである。

ウィルコはBBCラジオで
ジョニー・キッド&ザ・パイレーツの《 I'll Never Get Over You 》を聴いて、
そのギター・ソロを気に入ったらしい。

そしてテレビでジョニー・キッド&ザ・パイレーツを見たら、
口パクだったらしいが(ギターの場合は素振り?)
ギターがミック・グリーン一人しかいなかったので、
もう一人のギターリストは休みだと思ったのだとか。

パイレーツのギター・サウンドはリズムとリードをそれぞれ
ギターリスト二人で弾いていたと思いきや、
実は全てミック・グリーン一人でプレイされていたことを後で知って大衝撃を受ける。

そのあまりにもカッコよいギター・スタイルをモノにしようと、
コピーをするようになったのが始まりである。

ジョニー・キッド&ザ・パイレーツの中でも
特にシングル《 I Can Tell 》がお気に入りだったとか。

ジョニー・キッド時代にパイレーツ名義で出した
シングル『 Casting My Spell / My Babe 』などを聴いても、
ウィルコ在籍時の初期ドクター・フィールグッド、
そしてウィルコがソロ活動をはじめた頃のサウンドそのもので、
そのスタイルが体に染み込んでいる事がわかります。

ミック・グリーンがパイレーツを脱退し、
なぜかビリーJクレイマーというユルめのアーティストの
バックバンドであるダコタスに加入。

そこでのシングルB面インスト曲《 Oyeh 》を、
ドクター・フィールグッド時代に『 DOWN BY THE JETTY 』でカバーするなど
かなりミック・グリーンのギターを追って聴いていた様子。

そしてドクター・フィールグッド活動時に、
そのウィルコの熱烈なラヴ・コールに応えて、
バックバンドであるパイレーツがオヤジ・トリオとして
復活するなんて事までありました。

ちなみにセカンド『 MALPRACTICE 』収録の《 Going Back Home 》という曲は、
ミック・グリーンとウィルコ・ジョンソンによる共作で、
実際の個人的なお付き合いにまで発展していった模様。

そんな師弟二人が2000年に、なんと日本で、
競演ライヴを行ったのはタマラナイ事件でしたね。

後にウィルコのヒーローの一人であるヴァン・モリソンが、
バック・バンドのギターリストを探していた際に
ウィルコは自分も立候補すべく準備していたのに、
ミック・グリーンを紹介するなど涙な友情ハナシもあります。

ウィルコとミックのスタイルの違い

そんなミック・グリーンのギター・スタイルに大きく影響を受けた
ウィルコ・ジョンソンだけれど意外や意外。
そのサウンドは違った感触を持って聴こえませんか?

例えば前出『 DOWN BY THE JETTY 』収録の《 Oyeh 》を
ビリーJクレイマーのヴァージョンと聴き比べてみましょう。

ウィルコ・ジョンソンは、
ギターのフレーズやらタイミング、カッティングの間(ま)などは見事に
ミック・グリーンのプレー・スタイルを継承しています。

しかしウィルコ・ジョンソンは、一人でプレイできるように
さらにサウンドの贅肉をそぎ落し、よりタイトでシンプルに改良。
(ビリーJの《 Oyeh 》は2本のギターでプレイされている。)

これによってドクター・フィールグッドのサウンド・カラーに
見事にフィットさせて仕上げてます。

さらに決定的に違うのが、
そのフレーズの色彩。

ズバリ、ミック・グリーンは白、
ウィルコ・ジョンソンは黒なんです。

復活後のパイレーツを聴けばハッキリとその違いが出てますが、
同じフレーズを弾いてもミック・グリーンのサウンドからは、
カントリー、ロカビリーといったバックグランドが感じられます。

一方、ウィルコ・ジョンソンには、
ブルース、R&Bというバックグランドの違いがあるのがわかるでしょう。

ウィルコ・ジョンソンはミック・グリーンのスタイルを継承しながらも、
自分のフィルターを通してプレイしているのです。

共作された《 Going Back Home 》をドクター・フィールグッドと復活パイレーツで
聴き比べても色の違いが出ていて面白いです。

こうやって師弟関係のギター・スタイルも似てはいながらも、
それぞれ独自のサウンドへと昇華しているのが
やはりお互い凄いところです。

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